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怪談の現地へ行き、怖い映像を撮って、視聴者を驚かせる。企画としてはよくある流れです。『穢れた聖地巡礼について』が怖いのは、その「作られた怖さ」の裏側に、誰かが本当に傷つけられた場所と、消えない悪意が潜んでいることです。
物語の入口は、ヤラセの怪談企画です。撮れ高を求めて、演出を足し、見せ方を整える。ところが、現地で拾った情報や人の反応が、台本の範囲から外れていく。笑って済ませるために近づいた場所が、笑えない現実を抱えていることに気づかされます。
「怖いものを見に行く側」が安全とは限らない
ホラー作品では、主人公が呪いに巻き込まれるまでの距離が重要です。本作では、取材や撮影という仕事がその距離を縮めます。怖がる人を映す、場所の噂を利用する、視聴者の反応を計算する。企画を成立させるほど、現地にあるものへ踏み込んでしまう。
この構造があるので、怪異が出てくる前から不穏です。怪談を作る人間の都合と、そこで暮らす人や過去に傷ついた人の事情が一致していない。画面の向こうの視聴者が面白がれることと、現地で起きていることの間に、大きな温度差があります。
ヤラセが本物の悪意へ変わる瞬間
ヤラセは、嘘だと分かっているうちはコントロールできます。しかし、嘘を成立させるために本物の事件や記憶を利用すると、演者が考えていた以上のものを呼び込む。誰かの恨み、隠されていた事実、見ないふりをされていた被害が、企画の都合を押し返してきます。
本作の恐怖は、「幽霊がいるか」だけで決まりません。人間が他人の痛みを素材にしたとき、どこまで責任を負えるのか。その判断を先延ばしにするほど、登場人物の逃げ道が消えていく。怪異と人道の問題が同じ線上にあるため、ページをめくる手が重くなります。
聖地巡礼という言葉を揺さぶる
作品タイトルにある「聖地巡礼」は、好きな作品の舞台を訪れる明るい言葉としても使われます。本作では、その言葉に別の角度が加わります。誰かにとっては観光地でも、別の誰かにとっては事件の場所かもしれない。映える写真を撮る人と、そこで暮らす人の記憶は同じではありません。
このズレが、現代ホラーとしてのリアリティを作っています。ネットで話題になること、再生数が伸びること、現地へ人が集まること。それ自体が悪いとは限らないからこそ、どこで線を引くのかが難しい。読者は作中の人物だけでなく、自分ならその動画を見てどう反応するかまで考えさせられます。
怪異の嘘から、次の不穏な物語へ
ヤラセの企画が現実を呼び込む怖さを味わったら、関係性そのものが逃げ道を塞ぐエンドロールは地獄までへ。ホラーとBLでジャンルは異なりますが、登場人物が自分の目的のために他人を追い詰める構図に通じるものがあります。怪異の正体を追う読書を続けたい人は本作から、人物同士の執着へ移りたい人は次にエンドロールへ。単独で読める作品です。
DMMブックスで読む
DMMブックスでは『穢れた聖地巡礼について』の商品ページを確認できます。対象巻、価格、ポイント還元は販売ページで変動するため、購入前に最新表示を確認してください。
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現代の怪談、動画企画、ネットで消費される恐怖に興味がある人へ。派手な脅かしだけでなく、怖さを作る側の倫理まで描くから、読後に「面白かった」で終わらず、見たものを誰がどう扱うのかが残ります。
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