エルデンリング漫画レビュー|『黄金樹への道』『遠き狭間の物語』『Become Lord』を作者別に比較
『ELDEN RING』には、同じゲームを原作にしながら方向性の違う漫画が複数ある。飛田ニキイチのギャグ漫画『ELDEN RING 黄金樹への道』、春壱のほのぼのコメディ『ELDEN RING 遠き狭間の物語』、手撃拳によるフルカラー縦読み作品『ELDEN RING Become Lord』だ。
この記事では、3作品を作者、形式、物語の入り口、読み味で比較する。ゲーム本編の設定をそのまま説明する記事ではなく、どの漫画から読めば自分に合うかを判断するためのレビューとして整理した。
目次
- 3作品の違い
- 『ELDEN RING 黄金樹への道』レビュー
- 『ELDEN RING 遠き狭間の物語』レビュー
- 『ELDEN RING Become Lord』レビュー
- どの漫画から読むべきか
- まとめ
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『ELDEN RING 黄金樹への道 1』
3作品の違い
| 作品 | 漫画 | 形式・方向性 | 向いている読者 |
|---|---|---|---|
| 黄金樹への道 | 飛田ニキイチ | 紙・電子コミックス/ギャグ | ゲームの人物や用語を笑いに変えて読みたい人 |
| 遠き狭間の物語 | 春壱 | 紙・電子コミックス/ほのぼのコメディ | 狭間の地の日常やキャラクターの距離感を楽しみたい人 |
| Become Lord | 手撃拳 | フルカラータテスク/冒険譚 | 本編の大きな物語を漫画で追いたい人 |
3作品はいずれもフロム・ソフトウェアのゲーム『ELDEN RING』を原作とするが、主人公の扱いと物語の温度が異なる。『黄金樹への道』は褪せ人・褪夫を中心に、プレイヤーが遭遇する人物や場面の“あるある”を強く押し出す。『遠き狭間の物語』は戦いの合間にある会話や生活へ視点を寄せる。『Become Lord』はフルカラーの縦読み形式で、ゲームの壮大な冒険譚を追う入口として設計されている。
『ELDEN RING 黄金樹への道』レビュー

飛田ニキイチが描く、ゲーム経験者向けのギャグ
『黄金樹への道』は、飛田ニキイチが漫画を担当し、原作として『ELDEN RING(株式会社フロム・ソフトウェア)』を掲げる作品だ。KADOKAWA公式の紹介では、褪せ人・褪夫がメリナと取引し、狭間の地を進む。パッチ、ブライヴ、マルギット、魔女ラニといった人物も登場する。
この作品の読みどころは、ゲーム中では緊張する場面を、プレイヤーが覚えている不便さや理不尽さごと笑いへ置き換えるところにある。祝福、霊馬、ボス戦、NPCの言い回しなど、遊んだ人ほど意味を拾える要素が会話のテンポに変換される。世界観を茶化すだけではなく、何がプレイヤーに刺さったのかを理解したうえで、人物の行動をずらしている。
ゲーム未経験者でもキャラクターのやり取りは読めるが、元ネタが分かるほど細部の味が増す。難しい考察や本編の時系列を先に覚える必要はない。むしろ、ゲームで一度敗北した経験がある人が、記憶の中の場面を別角度から見直すための漫画だ。
こんな人に向いている
- 本編のキャラクターや敵を知っている
- 重い世界観を軽い会話で読みたい
- パッチやラニなど、ゲーム内の人物を別の性格で見たい
紙コミックスとして集めたい場合はKADOKAWAの商品ページで巻数を確認できる。連載・刊行状況は更新されるため、購入時点の公式情報を確認したい。
『ELDEN RING 遠き狭間の物語』レビュー

春壱が描く、戦いの外側にある日常
『遠き狭間の物語』は、春壱が漫画を担当する作品。KADOKAWAは、アクションRPG『ELDEN RING』をもとにした「ほのぼのコメディ漫画」として2024年7月からの連載開始を案内している。
タイトルの時点で、本編の王座へ一直線に向かう物語から少し距離を取る作品だと分かる。狭間の地には、命を奪い合う勢力だけでなく、食事をし、会話をし、互いの事情を抱えて暮らす人物がいる。『遠き狭間の物語』は、その“ゲームでは通り過ぎる時間”を漫画の中心へ置く。
コメディの基礎にあるのは、キャラクターの立場や関係性のずれだ。ゲームでは短い台詞やアイテム説明でしか見えない人物の距離を、会話の往復で長く見せられる。敵味方という区分だけでは整理できない人物を、怖さや悲しさを残したまま、日常の場面へ置く。その温度差が、黄金樹の下にある世界を身近に感じさせる。
『黄金樹への道』がプレイヤーの操作や失敗を笑いへ変える作品だとすれば、『遠き狭間の物語』は人物同士の間にある沈黙や気まずさを膨らませる作品だ。ゲーム本編の深刻さを忘れたい人だけでなく、人物の暮らしをもう少し見たい人に合う。
こんな人に向いている
- NPCの会話や人物関係を想像するのが好き
- 戦闘以外の狭間の地を読みたい
- ほのぼのした短編やコメディが好き
コミックスの発売情報はKADOKAWA公式で確認できる。最新巻や電子版の配信状況は、記事公開時点で再確認する。
『ELDEN RING Become Lord』レビュー

手撃拳によるフルカラーの縦読み冒険譚
『ELDEN RING Become Lord』は、手撃拳が漫画を担当するフルカラーのタテスクコミックだ。KADOKAWAは2024年3月29日からの連載開始を発表し、ゲームの壮大な物語を描く冒険譚として紹介している。
ここまでの2作品と形式が異なり、スマートフォンの画面で読み進める縦読みが軸になる。横長のコマ割りでページをめくるのではなく、画面を下へ送ることで場面転換や登場人物の見せ場を作る形式だ。色の情報も含めて、本編の世界を漫画として連続的に受け取りたい人向けになっている。
本編の『ELDEN RING』は、主人公の外見や能力をプレイヤーが決め、道順も自分で選ぶゲームだ。漫画版では、ゲームの自由さをそのまま再現するのではなく、物語を読むための視点と流れが用意される。そのため、ゲームを遊んでいても見落とした会話や場面の順番を、別のテンポで追える可能性がある。
一方、フルカラー縦読みという形式は、紙のコミックスとは読み心地が違う。見開きやページ単位の構図を重視する人は、試し読みで画面の流れを確かめてから選びたい。ゲームの世界を“読む”入口として選ぶなら、この形式自体が作品の個性になる。
こんな人に向いている
- ゲームの物語を漫画形式で追いたい
- スマートフォンでフルカラー作品を読みたい
- 『ELDEN RING』の世界観を大きな流れで楽しみたい
どの漫画から読むべきか
笑いを優先するなら『黄金樹への道』。ゲーム内の用語や人物を知っているほど、会話のずれとパロディを拾いやすい。登場人物の普段の姿を見たいなら『遠き狭間の物語』が合う。戦闘や勢力争いの裏側にある日常を、コメディとして読む作品だからだ。
ゲーム本編の物語を漫画で追うことを優先するなら『Become Lord』。フルカラーの縦読み形式に慣れている人なら、スマートフォンで冒険を進める感覚をつかみやすい。いずれの作品も原作ゲームの代替ではないため、同じ場面でもプレイヤーの体験とは違う視点になる点は押さえておきたい。
3作品を読む順番に迷う場合は、まず無料話や試し読みで形式を比べるのがよい。紙のギャグ漫画、紙のほのぼのコメディ、縦読みフルカラーという差は、あらすじだけでは分かりにくい。作品名だけで選ばず、読む端末と読みたい温度で決めると外しにくい。
まとめ
『ELDEN RING』の漫画は、作者が変わることで同じ世界の見え方も変わる。飛田ニキイチの『黄金樹への道』はゲーム経験をギャグに変え、春壱の『遠き狭間の物語』は人物の日常へ寄り添う。手撃拳の『Become Lord』は、フルカラー縦読みで冒険譚の流れを作る。
「エルデンリングの漫画」と一括りにしても、読後に残るものは同じではない。プレイ中の失敗を笑いたいのか、NPCの関係を見たいのか、物語の大筋を漫画で追いたいのか。目的を決めてから作品を選ぶと、3作品それぞれの持ち味が見えやすい。

