『Halloween: The Game』PS5日本版発売中止の理由を読む|CEROの判断、遊べる機種、過去事例
2026年8月31日、映画『ハロウィン』を原作とする『Halloween: The Game(ハロウィン・ザ・ゲーム)』の日本向けPS5版が発売中止になった。理由はCEROのレーティングを取得できなかったため。開発・販売側が挙げたのは「生々しい暴力」と「ヌード」。しかも、そこを削ってレーティングに合わせれば、原作映画の世界観とゲーム体験を壊してしまうという判断だ。

これは、かなり複雑なニュースだ。PS5ユーザーからすれば「また日本だけ遊べないのか」という話なのに、XboxとPCでは遊べる。しかも、映画の顔ともいえるマイケル・マイヤーズを操作するゲームで、殺しの表現を薄めたら別物になるというメーカー側の言い分も分かる。CEROに腹が立つ気持ちと、線引きそのものは必要だろうという気持ちが、同時に残る。
公式Xの告知ポスト:
結論:日本で遊ぶならXbox Series X|SかWindows PC
国内で買える選択肢は、次のとおりだ。
| プラットフォーム | 日本での状況 | 購入・プレイ前の確認 |
|---|---|---|
| PS5 | 国内版の発売中止 | 予約済みの場合はプラットフォーム側から返金予定。日本向けPS Storeでの販売再開は未確認 |
| Xbox Series X|S | 9月9日発売予定 | 国内Xboxストアで18歳以上・過激な暴力の表示。オンライン対戦・協力にはGame Pass Essential/Premium/Ultimateが必要 |
| Steam | 9月9日発売予定 | 日本語テキスト・字幕に対応。ストアのコンテンツ警告では頻繁な暴力、血とゴア、シングルプレイ中の一部ヌードなどを説明 |
| Epic Games Store | 9月9日発売予定 | Windows向け。日本語テキストに対応し、国内ストアではIARC 18+「Extreme Violence」表示 |
公式サイトやSteamのグローバル表示は9月8日、日本向けの公式告知と国内ストア表示は9月9日(水)になっている。日本から買うなら国内ストアの表示を見ればいい。予約ページや価格は発売前後に変わるため、購入直前にもう一度確認したい。
海外版と同じ体験を求めるなら

結論から言うと、海外版と同じ体験を狙うならXbox Series X|SかWindows PCだ。PS5版は、表現を変えてまで発売する道を選ばず中止になった。対してXboxとPCは予定どおり発売される。国内向けの内容変更も告知されていない。少なくとも、海外版に近い形で遊びたい人が選ぶ先はこの二つになる。
国内版と海外版が完全に同一だとメーカーが明記したわけではないので、そこだけは言い切れない。ただ、Xbox国内ストアは「18歳以上・過激な暴力」、Epic Games Store国内ページはIARC 18+「Extreme Violence」と表示している。マイケルを操作するシングルプレイを優先するならSteamまたはEpic、コンソールで遊ぶならXbox Series X|S。これが購入先の答えだ。
CEROが問題にした表現は、どこまで分かっているのか

何が引っかかったのか。ここは、はっきり分かっていることと分からないことを分けるしかない。開発・販売側が発表した理由は「生々しい暴力」と「ヌード」。一方で、CEROが「この殺害演出が決定打だった」「この裸体表現を削れば通る」と場面ごとに説明した資料は出ていない。だから、特定のカットをCEROの判断として断言するのは無理だ。材料がないからである。
ただ、ゲームの中身を見れば「なぜ問題になりそうか」は想像できる。Steamのコンテンツ警告は、シングルプレイとマルチプレイの両方に頻繁なグラフィック暴力と血・ゴアがあると説明している。インベントリからビールを飲み、マリファナを吸えること、シングルプレイ中に一部ヌードがあることも書かれている。海外PlayStationストアの注意項目には、Blood and Gore、Intense Violence、Nudity、Sexual Themes、Strong Language、Use of Drugsが並ぶ。
ただし、薬物描写までCEROの不取得理由だった、と話を広げるのは違う。日本向け公式告知が理由として挙げたのは暴力とヌードであり、薬物描写には触れていない。この記事で確実に言える「引っかかった点」は、まずこの二つだ。
CEROに腹が立つ。でも、線引きが必要なのも分かる

正直に言えば、PS5版の中止には腹が立つ。『ハロウィン』のマイケル・マイヤーズは、殺し方とその見せ方まで含めて成立しているキャラクターだ。そのマイケルを操作するゲームから暴力やヌードを削れば、看板だけ同じ別作品になりかねない。メーカーが「そこまで変えるなら日本版を出さない」と判断したのは、逃げではなく作品を守るための判断だと思う。
一方で、CEROが暴力や性的表現に線を引くこと自体は、まぁしゃーない。18歳未満に無制限で売るわけにはいかないし、ゲーム内でプレイヤーが操作する表現は、映画を観るだけの場合より細かく見られて当然だ。問題は、CERO Zまで上げても許されない表現があり、その線を越えると「一部を調整して発売」か「日本版を出さない」かになってしまうことだ。
今回のニュースで納得しにくいのは、まさにそこだ。Zは最も厳しい年齢区分なのに、Zを付ければ作品の核心を残せるわけではない。CEROの基準が必要なことと、メーカーが表現を守るため日本市場から引くこと、その両方が同時に起きている。
CEROの「Z」は、何でも許される区分ではない

CEROにはA、B、C、D、Zの年齢区分があり、Zは「18歳以上のみ対象」だ。ただし、Zは「18歳なら何でも見せていい」という区分ではない。各表現項目に上限があり、それを超える「禁止表現」を含むソフトにはレーティングを付けない。ここは、Zを事実上の無制限区分だと思っていると見誤る。
2025年5月改訂の倫理規定で、暴力表現の禁止例として挙げられているのは、極端に残虐な印象を与える出血、身体の分離・欠損、死体、殺傷、恐怖。性表現では性器や局部、性行為などが挙げられる。また、表現が直接的か間接的か、肯定的か否定的か、作品のテーマに必然性があるか、扇情的かといった度合いも考慮される。
CEROの公式説明では、審査員は審査内容について守秘義務を負う。そのため、今回もCERO側から場面別の判断は出ていない。ここは残念だが、「この演出が決定打だった」と外から再現できる材料はない。
本作の構造を見れば、審査で厳しく見られた理由は想像がつく。『Halloween: The Game』は1978年のハドンフィールドを舞台に、プレイヤーが殺人鬼マイケル・マイヤーズとして住民を追い詰める1対4の非対称ホラーだ。公式ストアも、マイケルが住民をつけ狙い、ヒーロー側が住民を逃がすゲームだと説明している。映画の殺人鬼を眺めるだけではなく、プレイヤー自身がマイケルを動かして人間を襲う。そこに頻繁なグラフィック暴力とシングルプレイのヌードが重なる。これがCEROの禁止表現のどれに当たったかは発表されていないが、ゲームの中心にある表現が審査の焦点になった、と考えるのが自然だ。ここは公開情報からの判断であり、CEROの個別コメントではない。
なぜPS5だけ中止で、XboxとPCでは遊べるのか

「CEROのレーティングを取れないのに、なぜXboxとPCでは売れるのか」。ここが今回いちばん分かりにくいところだ。答えは、CEROの制度と各プラットフォームの販売ルールが同じではないからだ。
CEROの審査対象には、家庭用ゲームだけでなくパソコン向けソフトも含まれる。ただ、販売店が受け付けるレーティングはプラットフォームごとに違う。PlayStationはダウンロード専用タイトルの一部でIARCを使い、Microsoftの開発者向け資料も、日本では物理リリースにCERO、デジタル専用製品にIARCを使える運用を示している。今回のXbox国内ストアはCEROマークではなく「18歳以上・過激な暴力」、Epic Games Store国内ページはIARC 18+を表示している。
CEROは行政機関として販売禁止を命じる機関ではない。審査の結果、レーティングを付けない。その一方で、国内の家庭用ゲームはCERO審査が基本の入口になっている。無レーティングのままPS5版を出すわけにはいかないが、デジタル配信ではIARCという別の道がある。今回の機種差は、この仕組みの違いで説明できる。
だから、「XboxならCEROを無視できる」「PS5なら暴力ゲームを出せない」という話ではない。国内PS5版はCERO取得を断念し、XboxとPCはデジタル配信のレーティングとストア運用で発売にこぎつける。PS StoreにもIARC対応タイトルはあるので、なぜ本作でそのルートを使わなかったのかは、メーカーから説明がないままだ。
過去にもあった「CEROに引っかかった」ゲーム

この話が今回だけの特殊なケースではないことは、過去作を見ると分かる。発売中止になった作品と、表現を変えて発売した作品を並べてみたい。
『The Callisto Protocol』:残酷表現を守るため国内版を断念
2022年のSFサバイバルホラー『The Callisto Protocol』は、日本向けコンソール版の発売を中止した。グレン・スコフィールド氏は4Gamerのインタビューで、CEROレーティングを取得できず、表現を調整すればプレイヤーが期待する体験を失うため、調整しないと説明している。主人公の死に方を多数用意し、人体が壊れる過程を恐怖の中心に置いたゲームだ。『Halloween: The Game』とは題材が違うが、「核心の残酷表現を削るくらいなら日本版を出さない」という判断は同じである。
資料:
遊ぶ:
『Dead Space』リメイク:コンソール版は国内展開せず、PC版が発売
2023年の『Dead Space』リメイクも、日本ではPS5/Xbox向けのコンソール版が発売されず、PC版だけが国内で販売された。EA公式の警告に並ぶのは、四肢の切断、串刺し、血、流血、嘔吐、死の生々しい描写。EA Japanのゼネラルマネージャーは、CEROから損傷部位の断面や内臓が見えることを理由にレーティングを与えられなかったと説明している。これはCEROの公式発表ではなくEA側の説明だが、何を削れと言われたのかが伝わる事例である。
資料:
遊ぶ:
カリストと『Dead Space』。この二本の名前が出るたびに、国内のコンソールユーザーは少し苦い顔になる。『The Callisto Protocol』の国内発売中止が発表されたのは2022年10月27日。あれから、もう4年近く経つ。それなのに、残酷描写を売りにした新作が出るたび、また同じ話をしている。時間が経つのが早すぎるという驚きと、状況があまり変わっていないことへのうんざりが、同時に来る。
『Until Dawn -惨劇の山荘-』:怖い場面ほど暗転する
『Until Dawn -惨劇の山荘-』の日本版も、忘れにくい規制例だ。海外版では見える四肢切断や首が飛ぶ場面が、日本版では画面全体の暗転に置き換えられた。何が起きたのかを想像させる演出、と言えば聞こえはいい。けれど、死に方を選び、死ぬ瞬間を見せることがホラーの芯にあるゲームで、そこだけ画面が真っ黒になる。プレイヤーが一番見たい、一番見たくない瞬間を、まとめて隠してしまったわけだ。
CEROが具体的に「暗転にしろ」と指示した資料まで確認できたわけではない。だから、これをCEROだけの責任だと断定するつもりはない。ただ、日本版で何が変わったのかを振り返る事例としては、かなり象徴的だ。
資料:
遊ぶ:
『Fallout 3』:CERO Zの上限を探り、二つの要素を変更
『Fallout 3』は、発売を諦めずに表現を削って国内版を出した例だ。日本語版では、人間の敵を撃った際の手足の欠損表現が抑えられ、核爆弾を起爆して街を破壊する展開も消えた。問題の核爆弾は、序盤の街メガトンにあるクエスト「The Power of the Atom」の中心に置かれている。爆弾を解除して街を救うのか、起爆してメガトンごと消すのか。あの世界に足を踏み入れて最初に突きつけられる、かなり大きな道徳的選択だ。そこを日本版では選べない。
ゼニマックス・アジアの高橋徹氏は、CERO Zの「天井」を狙ったものの、この二つを入れると日本で発売できないため削らざるを得なかったと説明している。これは小さな演出差ではない。街ひとつを消す選択肢と、その結果を見届けるルートがなくなった。遊べるようになった代わりに、プレイヤーが触れられる世界の一部が失われた。Zでも、そこまで踏み込めない。
資料:
遊ぶ:
『Far Cry 4』:記憶に残る「見えなくなった死体」
『Far Cry 4』の話になると、下半身を失った死体がゴミ袋に隠されていた、という記憶も出てくる。こういう細部は、規制の話をしていると本当にポロポロ出てくる。今回確認できた公式資料では、その場面の日本版差分まで裏を取れなかったので、確定したCERO事例としては書かない。『Far Cry 4』が国内でCERO Zとして発売されたこと、日本版の表現差がユーザーの間で話題になったことまでは確認できる。
資料:
もしかすると別タイトルの記憶と混ざっているのかもしれない。それでも、こういう「本来そこにあったはずのものが、日本版では袋や暗転の向こうに隠れている」という感覚が、遊んだ人の記憶に残り続けている。そのこと自体は軽く扱えない。
『BIOHAZARD RE:3』:Zでも海外版と同じではない
『BIOHAZARD RE:3』も、CERO Zを取ったから海外版をそのまま出せたわけではない。カプコンの公式サポートによれば、国内版には海外版にある頭部欠損表現がなく、出血表現も軽減されている。Zでも禁止表現は入れられない。これを「安全に遊べるようにした」と見るか、「海外版の残酷さを削った」と見るかは人それぞれだが、海外版と同じゴア表現を遊びたい人にとっては、はっきりした差である。
資料:
遊ぶ:

なお、2011年の『Gears of War 3』日本語版でも、切断面、ミートシールド中の欠損、処刑モーション、ヘッドショットによる頭部欠損が変更された。日本マイクロソフトが公表した変更内容を見ると、規制は「発売できるか」だけでなく、敵を倒した瞬間に何が見えるかまで変えてしまう。ホラーや残酷描写を売りにする作品ほど、この差は小さくない。
資料:
今回のニュースから読み取れること
今回の件を「CEROがハロウィンを禁止した」と片付けるのも、「CEROは理不尽だ」と片付けるのも雑だ。確認できる事実は、暴力とヌードを理由にPS5向けの国内レーティングを取得できず、内容を変えれば作品の核を壊すとしてPS5版を中止したこと。そしてXboxとPCは9月9日に国内発売されることだ。CEROがどの場面を、どの上限超過と判断したかだけは公表されていない。
過去作を見ると、選択肢は三つある。『Fallout 3』や『BIOHAZARD RE:3』のように表現を変えて発売する。『Dead Space』のようにコンソール版を外し、PC版を残す。そして『The Callisto Protocol』のように国内向けコンソール版そのものを諦める。『Halloween: The Game』は、PS5だけが三つ目、XboxとPCは二つ目に近い道を選んだ。
日本で本作を遊ぶなら、PS5版の再発売を待つよりXbox Series X|SかWindows PCを選ぶしかない。海外版に近い表現を残したいならこの二つ。マイケルを操作するシングルプレイを優先するならSteamまたはEpic、リビングのコンソールで遊ぶならXbox Series X|Sだ。CEROをめぐる怒りは残るが、購入先だけはもう決められる。
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