『モンスターハンターワイルズ』レビュー|ストーリーもアクションも濃厚で寝る間も惜しい神作!でも「最初キツイ…」の声にも納得

発売されてはや1か月が経とうとしている、モンハンシリーズ最新作『モンスターハンターワイルズ(以下モンハンワイルズ)』。
筆者は『モンスターハンターワールド』以来久々のモンハン復帰勢なんですが、もう、めちゃくちゃ楽しい。
久々にプレイ時間がどんどん積み上がるゲームでした。ひとしきり、コンテンツは一通り遊べたかなという雰囲気になってきたので、そんな、『モンハンワイルズ』の世界を語っていきたいと思います。
Contents
モンスターハンターワイルズ」にハマる要素
いろいろと要素はありますが、真っ先に伝えたいのは「ストーリー」。
モンハンシリーズのストーリーは、これまでそこまで深く描かれていた印象はなかったんですよね。ハンターが新人として始まり、成長しながら村の問題を解決するというパターンが多く、言ってしまえば、ストーリーは「狩りのおまけ」程度の扱いだった気がします。
でも『モンハンワイルズ』は全く違いました。今回の主人公は最初からもうプロハンター、いや、ベテラン中のベテランとしてゲームが始まります。いきなり周囲からの信頼が厚く、一目置かれている立場からスタートするんです。

モンハンシリーズって「駆け出しのハンターが地道に成長する」っていう過程が定番だったんですが、今作はそれを完全に覆してきました。物語の序盤から、「ハンターとは一体なんなのか?」「真のハンターとしてなすべきこととは?」といった、哲学的とも言えるテーマがグイグイと掘り下げられていきます。
主人公がベテランという設定も相まって、村の人々から頼られたり、手伝いをすることに違和感がありません。自分たちの目的(仕事)のために手助けをする・・・という感じですし。
また、少年を故郷に送り届けるという目的もあり、ストーリーを進めるうちに、自分が「誰かを導く存在」になっていく感覚があって、責任感と没入感が凄まじく高まります。単にモンスターを倒すだけでなく、その世界の中で生きるという感覚が、これまでのモンハンにはない魅力になっています。
上記のストーリーを、序盤からガンガン展開してきます。
次から次へ、気になる展開を出してくるのでやめ時が見つからず、気づけば「ああ・・・楽しかった・・・」と、ストーリーを走りきってしまいます。
特に、ストーリーをやっている間は装備の作成に必要な素材も少なく、「ストーリーとは関係ないクエストをやって、装備を整える時間」が少なくなるようになっています。
もうシステム的にもさっさとストーリーやれと言われてますねこれ。

世界観の作り込みが異次元レベル。製作陣の熱意が爆発している!
『モンハンワイルズ』がシリーズ過去作と最も違うと感じたもう一つのポイントが、「世界観の深さ」です。各フィールド(バイオーム)の作り込みがハンパなく、もはや一本のゲームを超え、「その場所に実際に住む人々やモンスターの生態系をリアルに感じる」ほどの密度で作り込まれています。

例えば、最初の拠点となる森エリアの村人たちは、実際に自然と共存しながら生活しています。NPCは日々の暮らしについて細かく語ってくれるし、村を歩けばリアルな会話が聞こえてきたり、狩りのための細かい準備をしている姿まで描かれています。これまでにない生活感、リアリティがここにあるんですよね。
環境生物の鳥を観察していたら食虫植物にバクっと食われたのは衝撃でした。まさかただの植物にそんなモーションが実装されてるとは思わなかった。水に潜ると水棲モンスターとすれ違ったりもするし、草食モンスターの大移動があったり、ちゃんと自然が描かれてるのに好感が持てます。
この描写の細かさからは開発チームの「モンスターハンターという世界に対する情熱」が感じられて、歩いてるだけでも楽しいです。
セクレトに任せっきりで歩くのもいいですが、たまには徒歩でマップを見ても回るのもいいですよ。迷子になるけど。

ただ、世界観の濃さやリアルさがゆえに、ゲーム序盤はかなりの長さを費やしてチュートリアルや物語の導入に割かれます。ここが賛否両論を呼んでいる原因でもあります。
賛否両論の序盤問題:とにかく序盤のテンポが悪すぎる
さて、ここまで褒めてばかりでしたが、実は『モンハンワイルズ』の序盤はハッキリ言ってテンポが悪いです。
序盤はとにかく説明が多い。「次はこの村人と会話しよう」「次はここを歩いて探検しよう」というお散歩タイムが延々と続き、NPCとの会話をスキップできない場面も多く、これが本当に長い。特にマルチプレイをやりたい人にとっては、20時間近くも自由にマルチで狩りができないという事態に陥ります。せめて、このお散歩タイムくらいスキップできる仕様にしてくれてもよかったのでは、とも感じました。
ただ、この序盤のテンポ問題に耐えて乗り越えられると、その後は快適な狩猟ライフが待っています。筆者はここまでの長さも含めて許せるタイプでしたが、「さっさと狩りがしたい!」という気持ちもよく理解できます。
が、いわゆるストーリーが終われば、いつものモンハンになります。延々と狩りができますし、現地でモンスターがどんどん供給されるので、ベースキャンプに戻る必要もなく、延々と狩りを続けられます。楽しすぎる・・・。
ストーリーが終われば狩りラッシュができるので、ムービーどうしても苦痛であれば、スキップしてしまうのも手かなとも思います。
(お散歩はスキップできないのでこれがネックになるのかな)
下の動画はとあるお散歩シーンです。確かに、これが新マップのたびに挿入されるのはきついと思うかもしれません。私はセクレトに乗りながらアイテムを集めて人の話も聞いて(聞いてない)ってやってるので忙しくて退屈とは思いませんでした笑
■戦闘アクションの大幅進化で最高!
では、そんな序盤を越えた先には何が待っているのか?
控えめに言って「極上の狩猟体験」です。もう、過去のモンハンに戻れないレベルの快適さが待っています。
特にありがたいのが『集中モード』という新システム。これは攻撃中でも攻撃の方向を微調整できる機能で、モンハン特有の「あっ、攻撃がまた外れた!」というストレスを一気に解消しています。
今回、「傷口システム」というものも実装され、攻撃を当て続けると「傷口」でき、傷口に攻撃を当てるとダメージが増えるという仕様になっています。
集中モードはこの傷口に攻撃を当てるためのモード・・・ということなのでしょうが、普通に好きな時に好きなところを攻撃できるのはとても良いです。
カメラをモンスターの方向に固定できる機能はワールドにもありましたが、集中モードで部位破壊もしやすくなり、痒いところに手が届くようなシステムになりました。
下の動画での冒頭でいきなり集中モードを使って傷口を狙っていますね。傷口を攻撃するとひるみも取れるし素材も手に入るしでいいことずくめ。爽快感もあります。
途中では太刀のいつもの「兜割り」から、新アクションの練気解放無双切りにつなげているシーンもあります。これが気持ちいいんだ。とっても強いアクションなんですが、太刀だけではなく他の武器種もしっかり強いアクションがあり、どの武器を使っても楽しいです。(ハンマーは不遇のようですが・・・)
さらに、新登場の騎乗モンスター『セクレト』が便利すぎます。これまではモンスターの場所がわからず延々とマップをさまよったり、採集ポイントに走ることが面倒くさかったのですが、『セクレト』が自動で目的地まで運んでくれるため、煩わしい移動は一切ありません。しかも騎乗中に回復薬や砥石も使える親切設計。あまりに便利すぎて、もう徒歩でモンスターを探し回っていた過去作が考えられないほどです。
マップ上でも例えば鉱石をマーキングすれば鉱石までセクレトが連れて行ってくれます。本当に楽で便利。
弊害としてマップが全然覚えられません。
主人公かっこよすぎて困る
『モンスターハンターワイルズ』がこれまでのシリーズと明確に違うのは、冒険の始まりからいきなり主人公が「ベテランハンター」として登場すること。

従来のシリーズは、新米ハンターが徐々に成長し、村や人々を救っていくという非常に王道な展開でした。でも今回の主人公は、ギルド職員であるアルマが主人公の経歴を見て、調査隊に加入させたという経緯があります。
ストーリー中でも、モンスターの名前を既に知っていたり、痕跡からモンスターを言い当てたりなど、ベテラン感を前面に出してきます。
そういえば、ここまでガンガンしゃべるのも珍しいね、モンハン。ワールドの時ってこんなしゃべったっけ?
これだけベテラン感を出してくれるとはおもっていなかったのですが、そのせいか自分が作ったじじぃキャラがハマるハマる。
新人駆け出しハンターのおじいちゃんにならなくてよかった。
アルマさんの期待も一身に受け、背中で語るハンターの姿は本当にかっこいい。
ここまで「負けられねぇ」戦闘は久々です。龍が如く2以来かな。
NPCが魅力的すぎる!キャラクターに命を吹き込んだスタッフに感謝
本作のストーリーがプレイヤーの心を掴んで離さない理由は、主人公以外の登場人物――NPCたちにもあります。
プレイした人は絶対共感してくれると思うのですが、「ルロウ」は全員好きでしょあんなん。「ルロウの旅日記」みたいなDLC出たら速攻で買うわ。
そのうち絶対ゲーセンでルロウのぬいぐるみ出る。頑張って取りたい(気が早い)
賛否両論ですが、個人的にかなり好きなのが「ヴェルナー」。
彼の技術屋のところがとても好きです。技術に貴賎なし。
技術に関して良くも悪くも正直、素直、真摯なのはとても好感が持てました。
・・・その結果とその際の態度によって好き嫌いがでるのは仕方ないところ。
危険な代物を止めるって話してるときにこれ。

というか、星の隊は問題児しかいねぇな。オリヴィアさん過労で倒れるぞ。
鍛冶屋のジェマちゃんの海外人気はすっごいね。いや、かわいいし気さくだしでいいとこしかないからそりゃそうだね。過去作あんまり覚えてないんだけど、どうやら過去のモンハンで既に出演していたようですね。(セリフからもう確定のようです)
モンスターの生態ムービーも見応え抜群
初見のモンスターの多くはムービーが流れます。
ストーリー上の大事なシーンで戦うモンスターは、盛り上がりとともに戦闘に突入します。それ以外では少しコミカルに描かれ、笑いを誘うムービーになっています。
これがすごく見応えがあります。オープンベータの時にも戦えたドシャグマなんて、その辺歩いてる中ボス的なモンスターかと思ったらストーリー上ではめちゃくちゃ恐ろしく、砂嵐の中戦う熱い展開でしたね。
基本的に「QUEST START」が出るタイミングがかっこいい。好き。


【ネタバレ】これってあいつでは?
- ラスボスについて
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下位のメインストーリーラスボス、「ゾ・シア」だけど、あれってたぶん『ミラボレアス』だよね?(・・・ルーツとバルカンも混ざってる?と思われるが「黒」に言及しているので黒龍ミラボレアスやろ。多分)
正確には、ミラボレアス本人ではなく、「護竜」として生み出されたコピーみたいなもんなんだと思うんだけど。
ミラボレアスと言えば、これまでのシリーズではおとぎ話として語られる伝説の存在でしたが、今回は明確にストーリーの中核に絡んできます。
※これまでも戦えたりしましたがメタイベント的な扱い。ただ、実際に戦ってみるとそこまで圧倒的な強さではありません。もちろん、ストーリー的には下位クエストという理由もあると思いますが、設定的にも「護竜」というコピー的存在だからか、弱体化も納得できて個人的はとても好印象。
ミラボレアスとストーリー終盤で戦えるという熱い展開ながらも、無理なく倒せる設定・展開を持ってきた構成、とても素敵です。最高です。
映画ジュラシックワールドでティラノサウルスが大活躍した感じ。「やっぱお前だよな!」って感じよ!!
しかもメタ的に考えると、「今は下位だから弱いけど、この先ちゃんと上位で戦えるのか・・・?」と期待を抱かせるシチュエーションでもある。実際、今後のアップデート、ミラボレアス本体とストーリー上でガチで対決できる可能性も十分ありえる。楽しみ。
【ネタバレ】アルシュベルドについて
- 1.アルシュベルドの鎖
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アルシュベルドの鎖は本来攻撃用ではなく制御用なのではないでしょうかね。
護竜アルシュベルドは人の手によって作られた命であることは明らかになったわけだけども、それを踏まえると「あの鎖って攻撃用ではなく、護竜として制御するために人間に付けられたものでは?」という疑問は当然に沸くと思うんだよね。
モンハンワイルズを起動したときの画面で、明らかに壁に鎖でつながれてる画像出るしね。(哀愁を帯びすぎでしょこのビジュアル。エモいわ。)
ナタくんもやっと自由に生きられたんだってしきりに強調するし、主人公もアルマさんも「制御が効いていない」と発言もあるしね。
もう絶対その用途でしょ。・・・と、この時までは思ってました。
- 2.原種帰りについて
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『原種帰り』しても鎖があるから、もともと鎖がついてたってことになるんだよねぇ。
白の孤影ってのも、たぶん鎖が弧を描いてる(またはアルシュベルドの3段攻撃するときのアルシュベルドの動きそのものが弧を描いている)からだと思うんよな。
白の弧影はすでに絶滅しているって話もあったから、鎖がもともとついてる種が絶滅している・・・というのは間違いないんだろうね。
- 3.それを踏まえるともしかして・・・
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さてさてさて・・・?
・アルシュベルドはもともと鎖がついていた
・護竜となったアルシュベルドは鎖でつながれていた
・アルシュベルドは絶滅したとされていた
・守人はあらゆるモンスターを護竜化している
・ゾ・シアは竜乳が剥がれると黒い=うまく護竜化できていない?これらを総合すると・・・
守人おめーら
「いろんなモンスターで実験した結果、もともと鎖のついてたアルシュベルドが最も強力で、かつ制御が容易だったので絶滅するまで研究した」
という説がとても濃厚になるのではないでしょうか!!!???
許せねぇ!!許せねぇよ!!
やっぱ守人はつみぶかいいきもの。
竜灯は止めるべきだった。
新システムと旧システムのちぐはぐさ
さて、ここまで序盤のテンポの悪さ以外は絶賛してましたが、不満点もないわけではないです。
初心者お断り感がすごい
情報が!!!!!多すぎる!!!!!!!!!
ワールドから久々復帰の私でもかなり厳しかった。あまりにも情報が多く、そして説明がないので情報の波に飲まれてリタイアする人もいるだろうな・・・と思う。
これ、アイテムのしまい方もわからんでしょ、初心者。
初心者さーん!!最初はあんまり気にしなくていいから!!
やることはそんなに大変じゃないから!!情報たくさん流れてくるけどそんなに手間暇かけなくていいから!!もっと気軽に狩っていいからね!!△ボタンと〇ボタンだけでモンスターは狩れる!!
慣れてきたらいろいろやればいいんだから!!情報の波に飲まれて離脱しないで初心者さん!!慣れたら大丈夫だから!!すこしずつ・・・すこしずつできることを増やしていこう!!
正直、アイルーが優秀すぎて回復なくてもなんとかなるしね。
UIの煩雑さ・面倒さ
アイテムボックスもそうなんだけど、アイテムをパッとうまく使えないんだよね。

選択肢がごっちゃごちゃで戦闘中に目的のアイテムを選ぶのに時間がかかる。
もちろん、ショートカットもあるんだけど、選択方式が謎すぎる。
下図みたいに、初期設定では十字キー上下左右の4方向で選べる。で、自分でカスタマイズして斜め4方向にも作れる。だから8方向に作れるのかな。

今、上が選択されてるのがわかると思うんだけど、ここから左を選択すると左上が選択されるんだよね。
おかしいやろ。素直に左の弾のとこ選択してくれや。
左の弾を選択するには、左に1回、下に1回押さなきゃいけない。明らかに設計ミスでしょ。
「斜めに入力したいのになかなかうまく入力できない」とかいう不満ならわかる。なんやねん、上から左行くのに二手間かかるって。テストプレイしてて「やりにく!」ってならんかったんか。
良くも悪くも4人狩りのシステムは変わらず
今作は拠点からフィールドがシームレスになっていて、拠点にはみんないるけど、フィールドに出たら一人になるみたいな感じ。
いままではクエストを貼って、クエストに出発したら一人・・・みたいな感じだったんだけど、そこがシームレスになったのは本当にすごいと思う。
ただ、MMO的な狩りもできるのか(FF14のモブハントみたいな)と思ってたけど、そういうわけではないのは少し残念だった。
フィールドで誰かが狩りをしていて通りすがりに助太刀!みたいなのができるのかと思いきや、そういうわけではない。
まぁ、自分のペースで遊びたいのにモンスターが湧いたら早い者勝ち!!みたいなことになりがちなので、これはこれで仕方ないかとも思う。
まとめ:不満点を差し引いてもシリーズ最高レベルの傑作!
ここまで、ストーリーの深さやモンスター攻略、世界観の作り込みについて詳しく語ってきた。序盤のテンポの悪さやUI周りなど不満点もあるが、正直、減点を補って余りある加点があるので相当に満足度があった。
特に筆者が強く言いたいのは、『モンスターハンターワイルズ』が「狩ること」そのものに深い意味を持たせた作品であるということが好感度が高い。
単に強いモンスターを倒すことに喜びを感じるのではなく、世界の一員として、自分の狩猟がどのように生態系や人々に影響するかまで考えさせられる。
単なる狩猟アクションゲームを超え、「この世界に生きている感覚」を楽しめる数少ないゲームが『モンスターハンターワイルズ』なのだと筆者は強く感じている。
迷っているなら、迷わずプレイして欲しい。
これは間違いなく『モンハン』の傑作といっていい。
今後のアプデがとても楽しみ!