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【PS5ソウルライク】スチールライジング レビュー ~フランス革命の機械仕掛けの革命~

きーる
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かねてからプレイしたいと思っていたSteelRising(スチールライジング)!
フリープレイでいただいていたので、ゴールデンウィークのタイミングでプレイしました!

ゴシックな雰囲気はそれだけで大好物です。Lies of Pも面白かったのでやっぱりこういう雰囲気は刺さりますね・・・。この手の雰囲気はBlood Bornが最高に最強なんですけども。

さて、スチールライジングはフランス革命を舞台にしたソウルライクでした。実際のフランス革命とは違って、からくり人形が兵器として使用され、主人公もからくり人形という設定。どちゃくそ好みです。

でも、残念ながら、「ソウルライクをたくさんプレイしている人には刺さらない」ゲームと思いました。
正直にいうと、面白いのは間違いないです。スチールライジングというゲーム単体で見れば面白いので、ソウルライクをあまりプレイしていない人にはぜひおすすめしたい。

が、逆に本家ソウルシリーズをプレイしている人や、ソウルライクをたくさん遊んでいる人にとっては「どこかで遊んだことのあるゲーム」の域を出ません。

スチールライジングからしか取れない栄養素はない

これに尽きます。

「Spiders」という中規模スタジオの作品としてはかなり頑張っていますが、やはり中規模スタジオ。全体的に作りが荒いです。

今回のレビューでは、そんな「スチールライジング」の良い点も悪い点もぶっちゃけて語っていきます!ソウルライク好きの方、フランス革命や歴史に興味がある方、そして「中規模スタジオ応援したい!」という方は、ぜひ最後まで読んでみてください!

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Contents

スチールライジングってどんなゲーム?

「スチールライジング」は、フランス革命期のパリを舞台にした歴史改変ソウルライクゲームです。ルイ16世が機械仕掛けのからくり兵士「オートマタ」を使ってフランス革命を血で抑え込むという設定のもと、プレイヤーは女王マリー・アントワネットの護衛役として作られた特殊なオートマタ「アイギス」となり、狂った王に対抗していくというストーリー。

オートマタというと、「NieR:Automata」を思い浮かべる方もいますが、あそこまで技術は進んでいません。スチームパンク寄りのデザインですね。18世紀末のパリに機械仕掛けの兵士がうろつくという、IFストーリーですが、割とよくある設定ではあります。

中世×スチームパンクはいいぞ。

開発元は「GreedFall」などを手がけたフランスのデベロッパー「Spiders」。個人的に彼らの作品は「良いアイデアはあるけど、実装が追いついていない」印象があったんですが、今回もその傾向は変わらず…。でも、フランスのスタジオがフランス革命を題材にしているというのは、ある意味筋が通っているといえますね!

価格は新品で7000円前後。中古の今では2000円前後が相場かな?
中古の金額ならいいですが、新品フルプライスだと期待値も上がりますし、そこがちょっと厳しいところかもしれません。中規模スタジオの作品としては頑張っているんですが、同じ価格帯のAAAタイトルと比べると見劣りする部分が多いんですよね…。

私はフリープレイでいただいたものをプレイしたので価格面では気になりませんでしたが、発売日に買ってこれだとちょっと割高か・・・?と思います。

ストーリー・世界観

ここからは実際のゲーム内容についてレビューしていきます。まずはストーリーと世界観から!

歴史改変フランス革命

フランス革命期のパリを舞台に、ルイ16世が機械仕掛けの軍隊「オートマタ」を使って革命を鎮圧するという設定。このストーリーアイデアはかなり好みです。
スチームパンク調の世界観で、実在の歴史上の人物たちも多数登場します。

「ルイ16世」「マリー・アントワネット」「ラファイエット侯爵」など、フランス革命に関わる有名人物が次々と登場するんですが、正直、フランス革命の歴史に詳しくない私には「誰?」となることもしばしば。もう少し登場人物の説明や関係性の解説があると親切だったかなと思います。(自分の学の無さを責任転嫁するな)

あとは、歴史改変ものなので細かいことは気にしない方向で楽しむのが吉です。「機械仕掛けの兵士がいたらフランス革命はこうなっていた」という「if」を楽しむゲームです。

アイギスの旅路

主人公「アイギス」はマリー・アントワネットの命を受け、パリに散らばる重要人物を救出しながら、機械兵士の暴走を止めるための旅に出ます。

オートマタでありながら自我を持つアイギスのキャラクター性は面白いんですが、ちょっと掘り下げが足りない感じがします。「なぜアイギスだけが自我を持っているのか?」という核心部分はストーリー後半で語られるものの、その過程で感情移入できる場面が少なく、ちょっと肩透かしを食らった感じがしました。

また、救出する相手が「おっさんばかり」というのも正直盛り上がりに欠ける要素。もうちょっとキャラクターの多様性があれば良かったんですが…まあ歴史上の人物を使っている以上、仕方ない部分もあるのかな。

いや、それにしてももうちょいキャラデザなんとかなったでしょうよ。正直どいつがどいつかわからんよ。

ストーリー展開自体は王道なので間違いはないんですが、ソウルライクゲーム特有の「断片的な情報から全体を組み立てる」というナラティブよりも、もっと直接的な物語の語り方をしているにも関わらず、キャラクターの魅力や感情移入の部分で物足りなさを感じました。

説明しているのに説明が足りないという不思議。本家ソウルは全然説明してないのに。歴史ものとソウルライクは合わないのか?

ゲームシステム・戦闘

ゲームの心臓部とも言える戦闘システムについて詳しく見ていきましょう!

戦闘システム

基本的には軽攻撃、重攻撃、回避、そしてスタミナ管理という王道ソウルライクの戦闘システムを採用しています。ただし、このゲームならではの特徴もあります。

最大の特徴は、スタミナがオートマタの「動力温度」として表現されていること。スタミナが尽きるとオーバーヒートして一時的に動けなくなるというわけです。ここまでは普通のスタミナシステムなんですが、ここに「急速冷却システム」というメカニックが加わります。

スタミナが0になりそうなときに特定のボタンを押すと、スタミナを一気に回復できるんです!これめっちゃ便利!でも、その代わりに「凍結」属性のダメージが蓄積されていくという仕組み。「仁王」の「残心」に似たシステムで、リスクとリターンのバランスを考えながら戦う必要があります。

このシステム自体は面白いんですが、実際にプレイしてみると若干残念な点が…。というのも、属性ダメージは蓄積値がMAXにならない限りは大きな影響はなく、スタミナが再度0になる頃には属性ダメージも0に戻っているんですよね。なので、実質的なペナルティはそこまで厳しくなく、「急速冷却しまくりでOK!」となりがちです。

もう少しリスクを大きくして、急速冷却を使うタイミングをプレイヤーに真剣に考えさせる設計だったら、もっと戦略性のある戦闘になったのになぁ…。

属性ダメージには「燃焼」「凍結」「電撃」の3種類があり、敵によって弱点が異なります。ただ、ここでも「燃焼を急速冷却で打ち消す」といった相互作用があっても面白かったのに、そういった工夫がないのがもったいないですね。

最先端のオートマタなので燃えながら凍結できます(?)

あと、動きがもっさりしているという部分はありますが、からくりということを考えればぬるぬる動かれるのも変かなと思うので、この軽いのに重さが感じられるもっさり感は私はデザインとあっていて好みです。

敵のバリエーション

正直、敵のバリエーションが少ないです。

基本的な敵の種類は10種類程度で、その強化版や属性違いのバリエーションがあるという感じ。炭鉱ステージではつるはしを持った敵が出てくるなど、一応ステージに合わせた敵のデザインはあるんですが、総じて工夫やこだわりが足りないように感じました。

後半は「ちょっと大きめの雑魚+強化バフをつける小型」の組み合わせ「しか」いないと言っても過言ではなく、戦闘に飽きるという致命的な欠点があります。

中ボスが「雑魚敵の強化版」というのも残念。HPが高いだけで、モーションはほとんど変わらないので、特に緊張感もなく倒せてしまいます。
「制御不能個体」ということでなんか強そう感あるけど「なぜこの敵が制御不能になっているのか?」といった設定面での説明もないのが個人的に不満。
オートマタを制御してるのは敵側なわけで。
制御不能で困るのは絶対敵のほうなわけで。
それを倒してやろうというのだよ?感謝してほしいものだ。
制御不能個体が近くにいるとウェスタが使えないのも意味がわからない。
ウェスタはオートマタの動力補給用で、ウェスタを配置したのも敵側の都合。たまたまアイギスがイレギュラーで自我持ってるから主人公サイドに利点をもたらしちゃってるだけで、「制御不能個体がいること」「制御不能個体のせいでウェスタが使えない」のはどちらも敵にとって不都合なこと。
ウェスタが使いたいからと、制御不能個体を倒すことで逆に敵にメリットが生じてしまうなど、なんらかの変化があってもいいのでは??

中ボスが配置されている場所も特に理由があるわけではなさそうなので、「このへんに中ボス置いとけ」感がすごい。

全体的に敵の強さも微妙で、火力は高かったりするんですが、戦闘自体はそこまで難しくありません。スタミナ管理がきついわりに、敵の攻撃パターンは単調で、一度パターンを掴んでしまえば簡単に倒せるようになります。

武器・装備

武器システムはなかなか良いです!様々な武器タイプがあり、それぞれ異なる特殊攻撃や防御アクションを持っています。

例えば「鉄扇」は盾として使えますし、「デュアルソード」はカウンター攻撃が可能、「ハルバード」は長距離攻撃ができるなど、武器によってプレイスタイルが大きく変わります。これは素直に良いポイントだと思います!

装備は見た目と性能の両方があり、おしゃれな衣装で着せ替えも楽しめます。ただし、やはり性能差があるので、完全に見た目だけで選ぶことは難しいです。これは多くのRPGに共通する課題ではありますが、せっかくの着せ替え要素がちょっともったいないかな…。

武器の強化もMAXでレベル5で、強化素材も豊富に手に入ります。

新しく手に入った武器を強化したいのに素材が全然足りない!ということはないので、新しい武器をどんどん試せるのは良いですね。

しかしながら筆者はソウルライクのゲームでは基本的に最初に入手した武器をずーーーっと使い続けます。縛りプレイでもなんでもなく、新しい武器のモーションに慣れるための脳のメモリがないので、「敵に合わせて武器を変える」よりも「使い慣れた武器で対応する」ほうが楽なだけです。

スチールライジングでは鉄扇を最初から最後まで使いました。
正直、これ一個で全然戦えます。

ロックオンとカメラワーク

ここは正直言ってかなり不満が残る部分です。ロックオンシステムが切り替えが遅すぎる上に、先行入力の受付時間が長すぎる!!!

切り替えをしても「あれ?切り替わらないな?」ってなるんですよね。で、もう一回入力した頃に切り替わる。そして、厄介なことに2回目の入力もちゃんと受付されているので、しばらくしたらまた切り替わってしまう…。このせいでカメラがグルグル回って何が何だかわからなくなることがしばしば。特に敵に囲まれるとターゲット切り替えを多用するので、これはかなり致命的です。

逆に言えば、1対1の戦闘を強く意識させる要素にはなっているのかもしれませんが、それにしてもストレスフルです。テストプレイで絶対明らかになる問題だと思うんですが・・・?

マップデザイン

次に、マップデザインと探索要素について掘り下げていきます。ここが実は一番残念だった部分かも…。

マップの構造と探索

フランス革命期のパリという歴史的な舞台設定は非常に魅力的なのですが、実際のマップデザインは…うーん、残念です。

特に気になるのがコリジョン(当たり判定)の設定がかなり適当な点。「なんでこの屋根には乗れて、似たようなあの屋根には乗れないの?」「この塀は越えられるのに、あっちの低い塀は越えられないの?」という疑問が頻繁に湧きます。

ジャンプやワイヤーアクションなどの移動手段があり、見た目華やかですが、後述する理由により「ないほうがよかった」と思います。

迷子になりやすいマップ設計

このゲーム、簡易マップがないんですよね…。ソウルライクのマップは複雑に入り組んでいるのが常ですが、そのぶん「今自分がどこにいるのか」を把握するための機能は必要だと思うんです。

特にこのゲームの街並みは似たような景色が続くので、「あれ?ここ来たことあったっけ?」という感覚に何度も襲われました。

しかも、スタート地点(馬車)まで戻るアイテムが個数限定で配布されるんですが、これもなんだか中途半端。だいたいサブクエストなんかでマップの奥深くまで行ったときに宝箱から入手できるんですが、「こんな奥まで来て、帰るの大変でしょ。このアイテム使って帰りな」という気遣いは感じるんですが、なら消耗品にする必要あるの?という疑問が残ります。

というか、ウェスタ間のファストトラベルくらいできていいでしょ。

エリア間のつながりを示すマップくらいは欲しかったなぁ…。特にフランス革命という歴史的な背景がある以上、「どこで何が起きているのか」を把握するためのマップは重要だと思うんですよね。

アイテム配置と報酬

探索の結果得られるものが経験値アイテムや手投げ弾といったショボいアイテムばかりというのも、大きな欠点です。

このゲーム、ジャンプや壁の破壊、ワイヤーアクションなど、探索のための行動は多いんですが、それらを駆使して隠し場所にたどり着いても、得られるのはたいてい経験値アイテムだけ…。後半はそれを学ぶので積極的な探索はせず、戦闘も飽きてきているので、敵から逃げながらアイテムだけ回収してさっさと進める形になってしまいましたね。

おそらくターゲット層はソウルライク初心者で、戦闘での経験値稼ぎが苦痛な人向けに探索で経験値が稼げるようにしたのかもしれませんが、それでも「探索の先に何があるのか」という期待感と驚きは欲しかったですね。

敵の配置と探索のテンポ

敵の足が無駄に早いのも探索を阻害する要因になっています。「あ、こっちにも道があるな、ちょっと見てみよう」と思って進むと、すぐに敵に追いつかれて戦闘になる…。しかも、射撃攻撃を持つ敵も多いので、遠くからも狙われて探索が中断されてしまいます。

先述の通り、「中型雑魚+バフ持ち雑魚」のセットがほとんどなので1vs複数が必至でこれまためんどい。足が速いのでダッシュで駆け回るんですが、スタミナの回復はおっそいのでスタミナがなくなるまでダッシュ→回避してスタミナをゼロ状態に→急速冷却→ダッシュ・・・という動作を延々とやることに。

もちろん、倒してから探索すればいいんですが、「倒せるなら探索する必要もない」という矛盾が生じてしまうんですよね。どうせ経験値アイテムしかないわけですから…。

グラフィック・サウンド

次に、グラフィックとサウンド面についてレビューします。

グラフィック

PS5専用タイトルとしては正直期待ほどではありません。キャラクターモデルや環境のディテールはやや物足りないと感じてしまうのは正直なところです。PS4でも十分動きそうなグラフィックなので、2022年当時でPS5専用で出したのか…少々疑問です。

特に気になるのは、環境のディテールの粗さです。建物や街並みのテクスチャがぼやけていたり、遠くの景色が単調だったり…。フランス革命期のパリという素晴らしい舞台を活かしきれていないのがもったいないですね。

“ぽさ”が出ているのはヴェルサイユでしょうか。

とはいえ、オートマタのデザインやスチームパンク的な世界観の表現自体は悪くないです。ある意味、AAA級の豪華なグラフィックよりも、独自のアート性を感じさせる部分はあります。特にアイギスのデザインや動きなどは良く作られています。

パフォーマンスに関しては、初期型PS5でカクつきなどなく安定しているので、その点は好印象です。PS5の性能を生かしきれているとは言えませんが、少なくとも快適なプレイ体験は約束されています。

サウンド

サウンドはオーケストラ調のものが多く、重厚でゲームの雰囲気によく合っていると思います。特にボス戦での盛り上がりは悪くないかと思いますが、「可もなく不可もなく」という印象で、特にあのボスの曲がよかった!というものはないかなぁと思います。

盾でガードしたときのガキィンという音は気持ちいいのでガードは楽しいかもしれません。

良い点

ここまでやや批判的なレビューになってしまいましたが、このゲームにも当然良い点はあります!ここからは、スチールライジングの魅力について語っていきましょう。

1. 独特の世界観とストーリー設定

フランス革命×オートマタという独自の設定は、他のソウルライクゲームにはない魅力があります!「エルデンリング」や「ダークソウル」のようなダークファンタジーとは一線を画す、スチームパンク的な世界観が新鮮です。

実在の歴史的人物が登場することで、「もしも」の歴史に思いを馳せることができるのも面白いポイントです。歴史好きには考察しがいがある設定かも?

私はどこがフィクションでどこがノンフィクションかわからないのがつらいところではあるけども・・・。

2. 急速冷却システム

スタミナ管理に新たな戦略性を加える「急速冷却」システムは面白いメカニックです!スタミナが尽きそうなときに追加でスタミナを回復できるシステムは、ソウルライクの硬直した戦闘に流動性を加えています。

このシステムのおかげで、より攻撃的な戦闘スタイルが可能になり、「守りに入りすぎる」という従来のソウルライクの欠点を克服している部分があります。

焦って入力タイミングをミスると「スタミナ0状態が長引く」というデメリットもあり、戦闘中は冷静でいる必要があります。
※急速冷却の可否で難易度は雲泥の差なのでしっかりマスターしましょう。

リスクマネジメントの要素も加わるので、戦闘の深みが増していると言えるでしょう。

3. 多彩な武器と戦闘スタイル

様々な武器タイプがあり、それぞれ異なる戦闘スタイルを楽しめるのは大きな魅力です!単なる見た目の違いだけでなく、武器ごとに特殊技や防御アクションが異なるので、プレイスタイルを大きく変えることができます。

特に、鉄扇のような珍しい武器も含まれているのは独創的。武器の強化や改良システムもシンプルでわかりやすく、素材の枯渇もあまり心配しなくてよいので自分好みの武器を育てる楽しさがあります。

4. アシストモードの実装

ソウルライクゲームの大きな課題の一つは「難易度が高すぎる」ということですが、スチールライジングでは「アシストモード」が実装されています。スタミナの回復速度やダメージ量を調整できるので、ソウルライク初心者でも挑戦しやすいのは素晴らしいですね!

「でも、イージーモードなんて使ったらソウルライクとしての意味がない」という意見もあるかもしれませんが、個人的には「まずは楽しむ」という選択肢があるのは良いことだと思います。プレイヤーの選択肢が増えるのは、基本的には良いことだと思います。

このゲームで慣れたら是非ほかのソウルライク、または本家ソウルシリーズをプレイしてみてほしいですね。

5. 探索の自由度

批判点も多かったマップデザインですが、一方で探索の自由度自体はそれなりに高いです。ジャンプアクションやワイヤーアクションなど、移動手段が豊富なので、「あそこに行ってみたい」と思った場所に行ける可能性が高いのは良いところです。

特に、進行に合わせて新しい探索能力が解放されるメトロイドヴァニア的な要素も一部にあり、前半で通れなかった場所に後半で戻ってみると通れるようになっている…という発見も楽しいです。

気になる点

改めて、このゲームの気になる点を整理してみましょう。

1. マップデザインの雑さ

先ほども述べましたが、コリジョンの設定が適当で、探索がスムーズに感じられないことが多いです。「なぜこの塀は越えられないのか」「なぜあの屋根には登れないのか」という疑問が頻出します。

また、簡易マップがなく自分の位置が把握しづらいのも大きな欠点。ソウルライクにおいて「迷う」ことは一つの楽しみでもありますが、それにはちゃんとしたランドマークや視覚的な工夫が必要なはずです。

2. 敵のバリエーションの少なさ

敵の種類が少なく、中盤以降は同じような敵との戦闘の繰り返しになってしまいます。特に中ボスは「雑魚敵の耐久度を上げただけ」という安易な設計の上、配置されている理由もなく、やっつけ感が強いです。

もう少し、敵ごとの特徴や戦闘パターンに個性があれば、戦闘の単調さが軽減されたのではないでしょうか。

3. ロックオンシステムの不完全さ

ターゲット切り替えが遅く、複数の敵との戦闘でストレスを感じることが多いです。これは正直言って、もう少し調整すれば解決できたはずの問題です。

特に複数の敵に囲まれた時、ロックオンの切り替えがスムーズでないと、カメラワークも含めて大変なストレスになります。ソウルライクゲームにおいて、操作性は非常に重要な要素なだけに、この欠点は痛いです。

4. 探索の報酬が薄い

隠れた場所や難所を探索しても、得られるアイテムがショボいことが多く、探索のモチベーションが維持しづらいです。経験値アイテムや手投げ弾だけでなく、もっとユニークな装備品や武器があれば探索が楽しくなったはずです。

ソウルライクにおいて、「苦労して到達した先に何があるのか」という期待感は非常に重要。その期待を裏切ることが多いのは残念です。

雑魚が同じやつばかりなので「あそこヤバそうな敵いる・・・行きたくねぇけど絶対倒したらいいアイテムあるじゃん!」みたいなわくわく感が生まれにくいのも低評価に拍車をかけています。

5. 開発の未完成感

全体的に「開発の途中で出てきた問題をモグラたたき的に解決した」という印象があり、まとまりに欠ける部分が多いです。「やりたかったこと」と「実現できたこと」の間にギャップを感じます。

6.世界観の説得力の無さ

世界の説得力の無さも大変に目立ちます。

宮殿にオートマタ(動かないけど)がモニュメントのように立ち並んでいるのがたまにありますが、ゲーム中の世界観的にオートマタが作られて実装され始めたのはつい最近のこと。

建物が、オートマタをモニュメントとして配置する前提の構造になっているのはとても違和感があります。

また、「ウェスタ」と呼ばれる修復ポイントは、なぜか制御不能のオートマタの近くでは使えない…という設定ですが、その理由付けも不明確。「とりあえず、こういう制限を設けておこう」「とりあえずこういうことにしとこう」という開発側の都合が透けて見えるような設計が散見されます。

総評

スチールライジングは、フランス革命という歴史的背景を機械仕掛けのSFに置き換えた独特の世界観と、急速冷却システムなどの面白いゲームメカニックが魅力のソウルライクゲームです。フランスのデベロッパー「Spiders」の作品としては、過去作よりも完成度が高いように感じます。

しかし、マップデザインの雑さや敵のバリエーションの少なさ、探索の報酬の薄さなど、ゲームプレイの基本部分に改善点も多く見られます。開発途中で出てきた問題をモグラたたき的に解決した印象で、全体としてのまとまりに欠ける部分があることは否めません。

「フロム・ソフトウェア」のゲームと比較すれば、細部へのこだわりや完成度では見劣りするものの、アシストモードがあるおかげでソウルライク初心者でも挑戦しやすいのは大きなメリットです。また、フランス革命という独自の舞台設定も魅力的で、これまでのソウルライクゲームとは一味違った体験ができます。

正直なところ、フルプライスで購入するには少し厳しい内容かもしれませんが、セール時に30%オフくらいになれば、十分に手を出す価値はある作品だと思います。特に「ソウルライクは興味あるけど、難しそうで手を出せない」という方には、アシストモードのおかげで入門用としてもおすすめできます。

個人的な評価としては、100点満点中65点といったところでしょうか。「Spiders」の成長を感じさせるタイトルではありますが、まだまだ改善の余地が大きい作品です。フロム・ソフトウェアのソウルライクと比較すれば物足りなさを感じますが、独自の世界観と急速冷却システムという面白いメカニックは評価できるポイントです。

フルプライスでの購入は少し躊躇してしまいますが、セール時なら十分に遊ぶ価値はあると思います。特に「スチームパンク」的な世界観が好きな方には、不満点を差し引いても楽しめる内容だと思います。

ちなみに、クリア時間は難易度やプレイスタイルにもよりますが、15〜20時間程度。サブクエストなども含めて全部やり込もうとすると、25時間くらいはかかるでしょうか。2週目を含めてトロコンしようとすると、35時間くらいかもしれません。

オススメの人・そうでない人

最後に、どのような方にこのゲームをオススメできるのか、そして向いていないのはどのような方なのかをまとめておきます。

こんな人にオススメ

  • ソウルライク初心者で、アシストモードを使いながら遊びたい人:難易度調整ができるので、ソウルライクに挑戦してみたい初心者におすすめです。
  • フランス革命やスチームパンクの世界観が好きな人:フランス革命の史実をベースにした設定や、機械仕掛けのオートマタという世界観は独特の魅力があります。
  • 独特の設定やストーリーを重視する人:戦闘やマップデザインに不満があっても、設定やストーリーの面白さで楽しめる方におすすめ。
  • 「Spiders」の過去作(GreedFallなど)のファン:このスタジオの作風が好きな方なら、今作も楽しめるはずです。

こんな人には向かないかも

  • ソウルライクの王道を求める熱心なプレイヤー:「フロム・ソフトウェア」のゲームのような洗練された戦闘や探索を期待すると、失望するかもしれません。
  • 緻密なマップデザインや探索の充実感を重視する人:マップデザインの雑さや探索の報酬の薄さは、このゲームの大きな欠点です。
  • 敵の多様性やボス戦の記憶に残る体験を期待する人:敵のバリエーションが少なく、ボス戦も特に印象に残るものが少ないです。
  • グラフィックの美しさを重視する人:PS5専用タイトルとしては物足りないグラフィックなので、ビジュアル面で満足できない可能性が高いです。

以上、スチールライジングのレビューでした!フランス革命は成功したのか、それとも機械の反乱に終わったのか…それはあなた自身のプレイで確かめてみてください!

【ボーナスセクション】類似のおすすめゲーム

スチールライジングを楽しん方には、ソウルライクの類似ゲームとして「Lies of P」と、「Bloodborne」、フランス革命題材として「アサシンクリードユニティ」もぜひおすすめしたいと思います!どれも独自の魅力を持ったタイトルなので、それぞれの特徴を紹介します。

『Lies of P』の魅力

「Lies of P」は、童話「ピノキオの冒険」をダークファンタジーに再解釈したソウルライク。スチールライジングと同様に歴史的な時代設定を舞台にしているのが大きな特徴です。

  1. 独特の世界観 – ベル・エポック時代を舞台にしたゴシックホラーとダークファンタジーが融合した美しくも恐ろしい世界が広がります。派手な建物と恐ろしい廃墟が入り混じった「クラット」という架空都市を探索できます。
  2. カスタマイズ性の高い戦闘システム – 「刃」と「柄」を組み合わせる自由度の高い武器作成システムと、様々な特殊能力を持つ「リージョンアーム」(義手)によって、自分好みの戦闘スタイルを構築可能です。
  3. 選択肢による分岐 – プレイ中に「嘘をつくか、真実を話すか」を選ぶ場面があり、その選択がストーリーやエンディングに影響します。原作の「嘘をつくと鼻が伸びる」という要素を逆転させ、むしろ嘘をつくことで「人間性」を獲得していくという斬新な設定も魅力です。
  4. 高い完成度 – スチールライジングよりも全体的な完成度は高いと言われており、ソウルライクゲームとしての難易度バランスやマップデザインも洗練されています。

『Bloodborne』の魅力

「Bloodborne」は、2015年に発売されたPS4専用タイトルで、「デモンズソウル」や「ダークソウル」シリーズを手掛けたフロム・ソフトウェアによる作品です。ソウルライクジャンルの金字塔的存在として、多くのファンから高い評価を受けています。

  1. ゴシックホラーの世界観 – 19世紀のビクトリア時代をモチーフにした「ヤーナム」という架空の古都が舞台。獣の病が蔓延る陰鬱な街で、「狩人」となってプレイします。ダークファンタジーとホラー要素が強く、独特の恐怖と魅力に満ちた世界設定が秀逸です。
  2. 攻撃的な戦闘スタイル – ダークソウルシリーズと異なり、盾による防御ではなく、攻撃と回避を中心とした戦闘システムが特徴。変形する武器や、パリィのための銃、受けたダメージの一部を攻撃することで回復できるシステムなど、かなり攻撃的なスタイルの戦闘要素が魅力です。
  3. 高い難易度と達成感 – フロム・ソフトウェア作品らしい高難易度のゲームバランスが健在。何度も死を繰り返しながら少しずつ成長していく過程で、他のゲームでは味わえない達成感が得られます。
  4. H・P・ラヴクラフト的世界観 – プレイを進めると徐々に明らかになる衝撃的な真実と、コズミックホラー的要素を含むストーリー展開も魅力の一つです。

『アサシン クリード ユニティ』の魅力

「アサシン クリード ユニティ」は、2014年にユービーアイソフトから発売されたオープンワールドアクションゲームで、フランス革命期のパリを舞台にしています。スチールライジングとは全く異なるジャンルですが、同じフランス革命という歴史的背景を持つため、比較プレイすると面白いと思います。

  1. 圧巻のパリの街並み再現 – フランス革命期の精度は圧倒的です。特にノートルダム大聖堂の再現度は素晴らしく、実際の建築資料として参考にされるほどです。人々で賑わう街の雰囲気や、暴動や処刑などの革命期ならではの光景もリアルに描かれています。
  2. 歴史上の人物との邂逅 – ナポレオン・ボナパルト、ロベスピエール、マルキ・ド・サド、ルイ16世など、フランス革命の重要人物が登場します。スチールライジングでは少々希薄だった歴史上の人物たちの動きが詳細に描かれています。
  3. 自由度の高いアクションと探索 – 建物の外観だけでなく、室内まで入り込めるデザインであり、街並みをより深く楽しむことができます。また、パルクールが使えるので街を縦横無尽に駆け回る爽快感はソウルライクでは味わえない体験です。
  4. マルチプレイの協力プレイ – 最大4人の協力プレイが可能で、友人と共にミッションに挑戦できるのも魅力です。
    2025年現在でもオンラインでちゃんと人がいます。
    ちょうどシャドウズが発売されたばかりなので、シリーズを振り返っている・新たに遊んでいる人が多いのかもしれません。

スチールライジングとの比較では、アクション性よりも探索と歴史再現に重点が置かれており、よりオープンワールド的な自由度があります。発売当初はマルチプレイに挑戦したせいかバグも多く遊びにくかったですが、現在ではアップデートにより改善されています。

スチールライジングとの比較

【Lies of P】

  • 難易度 – スチールライジングよりやや高め
  • 世界観 – より暗く、ホラー要素が強い
  • ビジュアル – 全体的に細部までこだわったビジュアルで、グラフィック面の完成度は高い
  • マップデザイン – より複雑でショートカットが多く、探索の満足度も高い
  • 戦闘システム – より戦略性が求められる戦闘で、武器カスタマイズの幅も広い

【Bloodborne】

  • 難易度 – スチールライジングよりもかなり高め(フロム・ソフトウェア作品らしい難度)
  • 世界観 – ダークでゴシックな雰囲気はスチールライジングと共通するが、より恐怖感を重視
  • ビジュアル – 2015年の作品ながら、芸術的な世界設計と緻密なディテールが魅力
  • マップデザイン – 複雑に入り組んだマップ設計と、巧妙な配置されたショートカットが秀逸
  • 戦闘システム – 攻撃的で手応えのある戦闘が特徴、盾がなく回避とカウンターが基本

【アサシン クリード ユニティ】

  • 難易度 – 中程度。ソウルライクほど厳しくなく、カジュアルに楽しめる。ただし、ステルス要素があり、正面から敵に立ち向かうと苦戦することも。
  • 世界観 – フランス革命期のパリを高精度に再現。実在の建造物や歴史的事件(バスティーユ襲撃、ルイ16世の処刑など)が忠実に描かれている。架空の設定よりも史実に近い。
  • ビジュアル – 2014年発売ながら、当時のPS4の性能を最大限に活かした美麗なグラフィック。特に建物の内装や装飾、群衆の表現など、細部まで作り込まれている。正直、スチールライジングよりきれいかも。
  • マップデザイン – オープンワールド型で、パリの街全体を自由に探索可能。建物内部も細かく作り込まれており、縦横無尽に移動できるパルクールが特徴的。隠しエリアや収集要素も豊富。
  • 戦闘システム – パリィやカウンターを中心とした剣戟アクションで、ステルス暗殺も重要な要素。ソウルライクのような重厚感はないが、多彩な武器や装備のカスタマイズが可能。(オープンワールドアクションのためジャンルが異なる点は注意!)

「スチールライジング」の課題点として挙げた「マップデザインの雑さ」や「敵のバリエーションの少なさ」といった部分が、「Lies of P」と「Bloodborne」では改善されており、より洗練されたソウルライク体験を楽しむことができます。

フランス革命という時代に興味を持った方には「アサシン クリード ユニティ」が、ソウルライクジャンルに興味を持ち始めた方には「Lies of P」が、より本格的な死にゲー体験を求める方には「Bloodborne」がおすすめです。それぞれ異なる魅力と特徴を持つ素晴らしい作品ですので、ぜひチェックしてみてください!

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社畜ゲーマー
3歳頃から共にゲームと育ってきた。 残業は36協定ギリギリなのでゲームをする時間がない。が、ゲームのない人生は考えられない。俺は今日もゲームをやる!!
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